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《シッティング・イン・ザ・タイム》
Sitting in the Time
映像
Video
2min 25sec
2025
この作品は、沖縄県公文書館に所蔵されている一枚の捕虜の写真を起点としている。写真の中で首を垂れ、頭に手を置いて顔を隠して座る人物が一人いる。その人物は日本軍の捕虜であること以外に、国籍や状況の詳細はわからない。その姿は、当時の「生きて虜囚の辱を受けず」という軍事訓示のもとで捕虜となった自らを否定しているのか、あるいは疲労しているだけなのかもしれない。その人の実際の心境は知り得ないが、写っている人は撮られることを選べない状況に置かれていた。私にはその姿勢が記録に残されたくないという、自分の存在を守るためのポーズのように見えた。
80年後のいま、私は米軍によって撮影されたその写真を、ネット上で目にすることができる。暴力の中で撮影された写真が、現在では安全な距離から目にされてしまう。その事実が持つ危うさを考え、映像では写真を直接提示せず、沖縄県内に点在する捕虜収容所跡地を巡りながら、33か所で同じ姿勢を模倣し続けた。
映像内では一人の人物がトランポリンで跳躍した最高到達点で写真の中の人の姿勢をとろうと試みる。写真が撮影された場所は特定できないが、だからこそ、かつて捕虜がいたかもしれないすべての場所で跳ぶことで、彼が座っていたかもしれない場所と一瞬重なり合えるのではないかと思われた。
《ぽよぽよ新聞No.1〜No.66 》
Poyopoyo NewspaperNo.1〜No.66
紙にインク
ink on paper
2021〜
《ぽよぽよ新聞》は、2021年から毎月制作している手作りの新聞である。取材から編集、発行までほぼすべてをひとりで行っている。紙の上に情報を並べることは、単なる記録というより、そのとき見聞きし考えたことをあとから組み直す作業に近い。
この新聞は書いて外に出し、返事が返ってきて立ち止まるという往復のなかで、関わる人との「ま」のような存在になってきた。ペンと紙があれば誰でもつくれる点も気に入っている。この新聞は日常で拾ったものを並べ直す、日記に近い実践なのかもしれない。
2026年1月で6年目を迎えた。続けてきてよかったことは多くはないが、大事な人がたくさんできた。月の予算は約3000円で、妥協はしないが無理はしないことをモットーに真剣に制作している。始めたとき学生だった私は働くようになり、文章も少し書けるようになった。ぽよしんを作るたび、自分が何も知らない無知子であることを思い知らされる。でも知らないのは私であり、これから知る自由を持っているのも私である。また間違いは訂正できるかもしれないが、誠実さは訂正できない。だからこそ、その点だけは手放さずに続けている。
街で自主新聞を見かけると嬉しくなる。もっと新聞をつくる人が増えたらよいのになと思っている。
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大和楓《シッティング・イン・ザ・タイム》
Sitting in the Time
映像
Video
2min 25sec
2025
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大和楓《ぽよぽよ新聞No.1〜No.66 》
Poyopoyo NewspaperNo.1〜No.66
紙にインク
ink on paper
2021〜
略歴
大和楓
Kaede YAMATO
1998年徳島県生まれ、現在沖縄県在住
2024年 金沢美術工芸大学 彫刻専攻 卒業
人のしぐさや身振りを通して、社会や歴史のかたちを見つめ直す。日々の小さな動きに宿る「所作」に着目し、それらを空間に立ち上げることで、個人と社会の重なりを柔らかく可視化してきた。
最近の展覧会に「アウトサイド」(海浜あみだ湯、石川、2025年)、個展 「シッ ティング・イン・ザ・タイム」(立命館大学国際平和ミュージアム、京都、2025年)、「開館30周年記念展 日常のコレオ」(東京都現代美術館、2025年)、「CAF賞2024入選作品展覧会」(東京/代官山ヒルサイドフォーラム、2024年)がある。「第11回 CAF賞(Contemporary Art Foundation Award)」優秀賞(2024年)受賞。
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